第7回TSUKUBA憲法レクチャー「常に問い続ける~アナウンサーが考える人権」を開催

2023年8月10日

2023年7月20日(木)、第7回TSUKUBA憲法レクチャー(主催:社会・国際学群、後援:学群共通科目部会)にて、「常に問い続ける~アナウンサーが考える人権」と題して、NHKアナウンス室 チーフアナウンサー、Eテレ「ハートネットTV」元キャスターの山田賢治さんにご講演いただきました。司会は、秋山肇助教(人文社会系)が務めました。

司会の秋山肇助教

ご講演では、マイノリティーをはじめとする人々の「生きづらさ」に向き合う際には、孤立について考えることが重要であると話されました。孤立とは依存先が少ないことを指し、自立の対義語は依存ではなく孤立であるとの理解を示され、自立するためには依存先を増やすことが重要であると話されました。これまで山田さんが関わられてきた「ハートネットTV」や、リオ・デ・ジャネイロ パラリンピックでの経験に言及され、障害、セクシュアルマイノリティー、親族間殺人、出生前検査を事例として、社会であまり可視化されない人々の「生きづらさ」の現状や、山田さんがこれらの事例に触れることで学ばれたことを紹介されました。

そして山田さんがこれまで考えられてきた「生きづらさをなくし、誰もが自分らしく生きるためには?」との問いに対し、孤立を防ぐこと、社会の偏見をなくすこと、個人や家族の問題ではなく社会の問題として考えること、他人事ととらえないことが重要であると話されました。そして、自助、共助、互助、公助のすべての底上げにより、支援者支援、国や自治体を動かすような議論をする必要があると論じられました。またアナウンサーとして様々な社会課題を扱う際の「言葉」や「表現」が相応しいか、常に問い続けていることを話されました。

講演者の山田賢治さん

質疑応答では、マイノリティーと向き合う際に気にかけていること、アナウンサーとして「言葉」や「表現」について気をつけていること等について活発な議論が行われました。

終了後のアンケートでは、障害者への行政の支援に加えて、社会全体が助け合う意識を持つことも大事だと思ったとの感想や、アナウンサーという視点から日本の社会問題を捉えたお話がとても貴重で新鮮であり、アナウンサーのイメージも大きく変わったとの感想がありました。

* TSUKUBA憲法レクチャーとは

専門の異なる様々な学生が集まる筑波大学で、多様な視点から憲法に関心を持っていただき、「TSUKUBA」ならでは憲法の学びの機会を提供するレクチャーシリーズです。SDGsにも関連した題材を扱っています。第7回は、目標10「人や国の不平等をなくそう」に関連するレクチャーとなりました。